ただし廃人に限る

アヴァベル好きの備忘録

「古城」※妄想考古学的二次創作物



ネビロスメリーとネビロスミリアは悪魔の姉妹。
退屈していた2人は、とある城に目をつけた。



楽しそうに働くメイドたち。
誇りに満ち溢れた城の騎士団。


ああ彼らの悲鳴はどれだけ素敵なのかしら!
2人は城へ降り立った。

見かけは少女。背後に頭部が三日月の操り人形ーー
呪縛の月さえなければ。

お嬢さんたち、お家はどこだい?
騎士団としての勤めを果たした兵士の、首が、とんだ。


虚空から、配下の悪魔である魔剣たちが顕現する。
城は一瞬で、戦場と化した。
血を浴びるほどに強くなる魔剣たちは我先にと襲いかかる。


悲鳴が、城に満ち溢れた。




城の騎士団長グランゼールは突然の事態に内心慌てながらも主である城の王をまずは逃した。

どこか遠くへ。
終わり次第迎えにあがりますゆえ。

剣をとり、精鋭の近衛兵達と共に元凶のいる場所へ向かう。
きらびやかな城は見る影もなく、そこはさながら地獄。
どす黒くなった魔剣たちが踊る。
くすくす、と少女たちの笑い声と共に死者たちが踊る。


呪縛の月の力だ。

味方がやられるたびに、敵の戦力が増していく。
早くあの悪魔たちを倒さなければ!

グランゼールを嘲笑うかのようにネビロスメリーは死者たちを操り襲わせた。

無残にも変わり果てた部下たち。
心の中で謝りながら、死者たちを掻き分け剣が悪魔を貫いた。
終わった、とは思えなかった。


あまりにも手応えがなさすぎて。
そう、目を凝らせば彼女たちの身体は透けていた。 実体を持たない、幻想の存在。

百戦錬磨の騎士団長とはいっても、結局はただの人間。

勝機が見いだせないまま、グランゼールは瀕死にまで追い込まれた。

このままではこの城は落とされ、悪魔たちは更なる刺激を求めて外へ出ていくだろう。


そんなことにはさせてなるものか、とグランゼールは飾られていた兜に手をのばす。

それはその城に伝わる、力を授ける代わりに命を奪うと言われる呪われた兜。
貴様らに好きにさせるくらいなら!悪魔に堕ちてでも阻止してくれる!


"""暗縛""グランゼールの誕生の瞬間。"


兜から溢れる闇は城全体を包み込み、ネビロスメリーも、ネビロスミリアも、
死者も、生者も、全てをこの地に縛り付けた。



時はたち。


血を魔剣たちに吸われつくした兵士たちは骨だけになろうとも安息を許されず。
見目麗しいまま死んだメイドたちは腐肉の塊となっても安息を許されず。
魔剣たちと姉妹は退屈を感じるも離れることを許されず。

悪魔へ堕ち憎悪の塊と成り果てた騎士団長だった男は.......
かつては豪華な城であっただろう古城の中で今も尚、彷徨っている。


執筆···はたこ ‪@hatako_1010 ‬
監修...あまのまん


解説

アヴァベルの収拾品やモンスターの設定(ペット図鑑)を元に、「ここはかつてなんだったのか」という考古学的妄想を発揮した二次創作になります。

本来Twitterで、はたこさんがあげられたものですが過去ツイートになってしまったため、転載の許可を戴いてblogにアップしました。